非可逆圧縮 ひかぎゃくあっしゅく

Lossy Compression

データを圧縮する際、データサイズを小さくするためにデータを削除すると、削除されたデータが元に戻ることはありません。このように、圧縮後のデータから圧縮前のデータが復元されることがない圧縮方法のことを非可逆圧縮といいます。不可逆圧縮、ロッシー圧縮ともいいます。

画像、音声、動画などのデータはデータサイズが比較的大きくなるため、ネットワーク上での利用の場合など、高い圧縮率を実現する必要があります。その際、見た目などにあまり影響がなければ、データを削減することが可能です。
画像データのJPEG(注1)、音声データのMP3、動画データのMPEGなどはいずれも非可逆圧縮の方式を利用しています。JPEGやMPEGは人間の目にとって影響の少ないデータを削減することや、隣り合う部分の差や、背景や動画のフレーム毎に同じような個所が連続する部分の無駄を省くことでデータサイズを小さくしています。MP3も人間の耳にとって判別しづらいデータを削減したりその他の圧縮技術を組み合わせることで、データ量を小さくしています。高い圧縮率にすればするほどデータサイズは小さくなりますが、それに伴って品質は劣化します。
いずれの場合も圧縮後のデータから圧縮前のデータが復元されることはないので、編集時は非圧縮か可逆圧縮のファイルフォーマットを利用し、編集後に用途に応じた圧縮を1度だけ行うことが理想です。またその際、圧縮前のデータも残しておくのが良いでしょう。

一方、テキストやプログラムのデータなどは、圧縮後のデータから圧縮前のデータが復元できないと意味がないので、可逆圧縮が用いられます。

注1:方式としては可逆圧縮のJPEGというものも存在しますが、実際にはあまり利用されていません。

※掲載している図版はJPEGファイルのため、厳密に非圧縮と圧縮後の状態を比較したものとは異ります。また違いをはっきりさせるために下の画像は、圧縮率を高くし画像を劣化させています。

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参考文献
・「図解入門 よくわかる最新データ圧縮技術の基本と仕組み」岡野原大輔・藤本健・小川秀明/著 秀和システム 2003年
・「教養のコンピュータサイエンス―情報科学入門― 第2版」岡部洋一・坂内正夫・小舘香椎子/監 小舘香椎子・上川井良太郎・中村克彦/著 丸善 2001年
・「マルチメディアデータ入門」常盤繁/著 コロナ社 2003年
・「図解入門 よくわかる最新ファイル形式と文字コードの基本と仕組み」若林宏/著 秀和システム 2003年
・「JPEG&MPEG 図解でわかる画像圧縮技術」越智宏・黒田英夫/著 日本実業出版社 1999年
・「サウンドファイル徹底研究」御池鮎樹/著 工学社 2002年

監修
井上智史 通信教育課程デザイン情報学科非常勤講師

作成日・改訂
2008年11月07日作成