針見当 はりけんとう

Hari Kento

針見当は、リトグラフや銅版画の多色刷りの際に、針を使用して、印刷する紙を版に対し正しい位置に置く見当の方法です。

針見当は、通常の印刷時に使用されるほか、印刷する紙が版よりも大きい場合や、紙のサイズが一定ではなく様々なサイズの紙で刷らなければならない場合などに使用します。
リトグラフの多色刷りにおいて針見当を使う場合には、まず1版目の製版時に版面の余白(マルジュ)にトンボと呼ばれる十字型の目印を書き入れます。トンボは、余白の上下または左右のどちらかの中央二ケ所に書き入れましょう。2版目以降の版には、1版目に書き入れたトンボの中心と同じ位置に、針を合わせるための針穴をつけておきます。
針見当を使用した印刷は、1版目の印刷時に絵とトンボを一緒に刷り取ります。2版目以降の印刷の際は、1版目の印刷で刷り取ったトンボの中心に紙の裏側から針を刺し、製版時につけた版面の針穴に合わせることで、紙を適正な位置に置くことができます。
この時、T棒と呼ばれる、T字型に固定された木の棒に可動式の針が付いている道具を使用すると便利でしょう。

銅版画において針見当を行う場合には、あらかじめ印刷する全ての版の作品として目立たない二ヶ所に穴をつけておき、リトグラフと同様に紙に針を刺して紙を置くことで、適正な位置に紙を置くことができます。

テキストを全て表示

関連科目

参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年

監修
永井研治 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2009年04月28日作成

文字サイズを拡大

  • 針とT棒
  • T棒による針見当
  • 針見当(版・画面・トンボ・針・紙の関係図)

このページの上部へ