ファブリアーノ水彩紙 ふぁぶりあーのすいさいし

Fabriano Watercolor Paper

ファブリアーノ水彩紙とは、イタリアのファブリアーノ社が製造している「エキストラホワイト」「クラシコファブリアーノ」「クラシコ5」などの水彩紙を指します。透明水彩やガッシュ、アクリル、インクなどの水性系の描画材に最適です。ちなみにファブリアーノ社は、イタリア中部にて1283年から操業を続けているヨーロッパでも歴史ある製紙会社です。これまでに生産した紙は、ダ・ヴィンチやラファエロなど数多くの画家達にも親しまれてきました。

ファブリアーノ社の水彩紙は種類が豊富ですが、その中でも「エキストラホワイト」と「クラシコファブリアーノ」(どちらも「アルティスティコ」と呼ばれる高級水彩紙ブランド)は厳選されたコットンを100%使用し、塩素や蛍光染料の添加などはせず、手漉きに近いモールドメイド(半機械漉き)で製造されていることから、代表的な製品となっています。他の水彩紙にはない独特な紙肌を持ち、ほどよい弾力性や吸い込み、発色性、表面の強度、保存性(中性紙)などで優れています。
「エキストラホワイト」は純白に近い紙色が特長で、紙の肌理(表面の凹凸)も極細目・細目・荒目・極荒目と多くの種類があります。また、厚さは坪量(1平方メートルあたりの紙一枚の重量)で300g(イタリアでは300~640g)と厚みがあり、形状はシート状(560×760mm)のものや、複数枚の用紙の1辺が糊付けされたパッドタイプなどがあります。
「クラシコファブリアーノ」は、オフホワイトの紙色をしていて、肌理は荒目のみで形状もシート状のみですが、厚さは200g・300g・640gと多種類あります。
その他に、「クラシコ5」(肌理:荒目・中目・細目、厚さ:210g、サイズ:700×1000mm)という、コットンを50%としモールドメイドで作られた、水彩画や版画(平版、孔版など)にも適したミドルグレードの紙や、コットン(25%)とウッドパルプを配合した安価で学習者向けの「スタジオ」という紙などがあります。

紙の裏表は、基本的には紙肌の凹凸がハッキリしている方が表側で、やや平坦な方が裏側ですが、ウォーターマーク(透かし)の文字の向きでも確認できます。(「FABRIANO」などの文字が正しく読める向きが表側です。)
ファブリアーノ水彩紙は画材店などで購入できます。

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参考文献
・「版画」武蔵野美術大学版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「紙の大百科」美術出版社 2001年

参考ウェブサイト
「2002-2006年 造形ファイル」 武蔵野美術大学
ファブリアーノ社
株式会社ミューズ

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2008年05月23日作成

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  • ファブリアーノ水彩紙(拡大写真)ファブリアーノ水彩紙(拡大写真)
  • ウォーターマーク(透かし)エキストラホワイト 細目エキストラホワイト 細目
  • クラシコ5 荒目クラシコ5 荒目
  • エキストラホワイトにおける描画例
  • クラシコ5における描画例

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