ピンセット ぴんせっと

Tweezers

ピンセット(pincet:オランダ語)は、指では扱うことができない小さな部品を取り扱う時や、部品に指紋や手の汚れなどを付けたくない時などに利用される道具です。グラフィックデザインやレタリングでは、紙片や色見本を扱う時に利用します。

ピンセットは、用途や目的によってたいへん多くの種類があり、見た目が似たようなものであっても、形状がわずかに異なっていたり、材質が違っていたりします。例えば、精密機器の組み立てなどに使用するピンセットであれば、先端部分が高い精度を持っていて、また非磁性で静電気を帯びにくい、ファインセラミックなどの素材が用いられているものもあります。

美術やデザイン、または趣味の領域で一般的に多く見かけるピンセットだけを取り上げてみても、多くのバリエーションがありますから、自分の目的に合った使いやすいものを見つけることができます。例えば、ボディー全体が真っ直ぐなものや、先端がゆるやかにカーブしているものは、素材を扱う時に使いやすい角度になるほうを選ぶと良いでしょう。先端が平型のものは、写真や色見本、切手など、薄くて傷つけやすい素材を扱うのに便利です。先端が針のように細く尖(とが)ったものを使えば、小さなピンを掴(つか)むといった細かい作業をする際に、視界を遮られることが少なくて済みます。フッ素加工が施されているものは、糊などの汚れが付きにくいため、テープやシール類を扱うのに便利でしょう。また、竹製のピンセットは、静電気を帯びないため、工芸では金箔を挟む時などに使用されています。この他にも、柄が途中で交差しているため、通常は閉じていて掴むと先端が開くという、逆作動型のピンセットがあります。掴んでいる時間のほうが長いような場合には、逆作動型が便利といえます。

ピンセットを使用する際は、中には先端が非常に鋭いものもありますから、取り扱いには充分注意しましょう。ピンセットは、画材店や文房具店などで購入できます。

テキストを全て表示

関連項目

参考文献
・「道具大全 手作り、クラフト、DIY。」デザインの現場増刊号編集部/編 美術出版社 1997
・「世界の一流道具大図鑑」東京書籍出版編集部/編 東京書籍 2001年
・「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」野本憲一/著 ホビージャパン 2003年
・「究極の文房具カタログ マストアイテム編」高畑正幸/著 ロコモーションパブリッシング 2006年

参考ウェブサイト
幸和ピンセット工業
株式会社 大喜

監修
田中克明 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授

作成日・改訂
2008年06月20日作成

文字サイズを拡大

  • 逆動作型ピンセット
(通常時は閉じていて、つかむと先端が開きます)逆動作型ピンセット (通常時は閉じていて、つかむと先端が開きます)

このページの上部へ