カルトン かるとん

Carton

カルトンは、デッサンやクロッキーをする際に、支持体となる用紙を固定し、下敷きとして用いる厚紙製の画板です。フランス語の「carton(厚紙)」に由来します。

一般的に利用されているデッサン用のカルトンは、厚紙を加工した板が1枚のみ(シングル仕様)のものと、2枚で1組(ダブル仕様)のものがあり、ダブル仕様のものは、板の一辺に蝶番の役目をする綴じ紐や布が付き、二つ折りの状態になります。板と板の間に、デッサン作品や未使用の用紙を挟んでおくことで、紙が折れたり汚れたりせずに保管できます。また、各辺にある紐同士を結ぶことで封ができ、持ち運びなどが容易になります。サイズは、木炭紙が納まる約680×530mmの大きさのものや、やや小型の木炭紙半切用や中判・四切判と呼ばれる約560×400mmの大きさのものなどがあります。

カルトンを用いてデッサンする場合は、カルトンと用紙を、目玉クリップなどで四隅をしっかりと挟み込み固定しましょう。その際、用紙がカルトンの中央に位置し、水平垂直の向きが保たれ、波打つことなく平滑になるように調整しましょう。イーゼルを用いないで描画する場合は、カルトンの二カ所の隅に目玉クリップを装着し、各目玉クリップの穴に吊り紐を通すことで、首から提げる画板のようにして利用できます。

カルトンには画板としての意味の他に、壁画やフレスコ画などの大画面の絵画制作において、本制作の前段階として、紙に描かれた原寸大の下絵(エボージュ ebauche : 仏)の意味もあり、また、支持体となっている紙を指す場合もあります。

取り扱いの注意として、カルトンに多くの用紙を挟み込み過ぎたり、物を上に載せたまま放置すると、反りや歪みの原因になり、画板として利用した際に描画し難くなるため、適切に扱いましょう。
カルトンは、画材店や文具店で購入できます。

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参考文献
・「岩波西洋美術用語辞典」岩波書店 2005年
・「新潮世界美術辞典」新潮社 1985年
・「日本大百科全書」小学館 1994年
・「絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科」美術出版社 2000年

参考ウェブサイト
・ホルベイン画材株式会社
・株式会社ミューズ

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2009年03月30日作成

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  • ダブル仕様ダブル仕様
  • シングル仕様シングル仕様
  • ダブル仕様のカルトン外側外側
  • 内側内側
  • 使用例画板として使用画板として使用
  • 保管用紙ばさみとして使用保管用紙ばさみとして使用

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