銅版画 どうはんが
Copperplate Printing
銅版画は凹版画のひとつで、版材に圧延された銅の板を使用し、「彫る」「腐蝕する」などの物理的処理を加えて凹部を作り、そこにインクを詰めプレス機で圧力を加え刷ることで、インクを版から紙へ転写する技法です。
銅版画は1400年代に金具などに彫刻を施す金属細工師が図案等の記録用として印刷を始めたことが起源だと言われています。当初は銅板ではなく鉄板を使用していましたが、1400年後半から銅板が用いられるようになりました。
銅版画の製版は、直接凹版技法(直刻法)と間接凹版技法(腐蝕法)の二つに分けられます。直接凹版技法にはエングレーヴィング、ドライポイント、メゾチントなどの技法があります。これらはニードルやビュランと呼ばれる刃物を使用して版面を直接印刻することで、凹部を作る方法です。間接凹版技法にはエッチング、アクアチント、ソフトグランドエッチングなどの技法があり、これらは描く部分を塩化第二鉄水溶液や硝酸水溶液で腐蝕させて凹部を作る方法です。
初期の銅版画はビュランを使用したエングレーヴィングが主流でした。16世紀に入るとエッチングが考案され、17世紀に入りアクアチントが使われるようになりました。現在ではエッチングやアクアチント、ドライポイントなど様々な技法を併用して作品を作る作家が多数います。この他に、感光液を使用した写真製版技法や、凹部と凸部同時にインクを載せて刷り取る凹凸版刷り、雁皮紙に印刷する雁皮刷りなど様々な製版方法や印刷方法があります。
関連科目
参考文献
・「版画」武蔵野美術大学油絵学科版画研究室/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「版画事典」室伏哲郎/著 東京書籍 1985年
・「版画 進化する技法と表現」佐川美智子/監 岡部万穂/編 文遊社 2007年
・「銅版画のテクニック」 深澤幸雄/著 ダヴィッド社 1966年
・「銅版画のマチエール」 駒井哲郎/著 美術出版社 1992年
・「版画の技法と表現」町田市立国際版画美術館/編 1987年
監修
今井庸介 通信教育課程油絵学科非常勤講師
作成日・改訂
2009年06月20日作成