透視投影 とうしとうえい
Perspective Projection
分類
透視投影は、中心投影とも呼ばれ、三次元の物体を平面上で表現するための図法(投影法)の一つで、パースペクティブ・ドローイング、略してパースとも呼ばれます。対象物を目で見た時と同じような表現ができるので、デザインの領域では、設計の予測や仕上がりの状態を表現する手段として、いろいろな分野で活用されています。例えば、建築の外観図や、プロダクトデザインのレンダリング(完成予想図)などに、さらには都市空間を示す鳥瞰図(上から見下ろした図)や公園などの景観図、室内の見取り図などにも応用される幅広い手法です。
透視投影では、視点から物体までの視線が、一つの視点に集められるという特徴があります。視点が一つに集まらず平行である、という考え方は平行投影と呼ばれ、工業用図面で多く採用されている第三角法などが含まれます。
透視投影によって描かれる図は、視点と消失点(※1)の設定によって、一点透視図法・二点透視図法・三点透視図法に分けられ、各図法はそれぞれ、いくつかの作図方法によって描き表すことができます。これらの図法は、適宜使い分けることができますが、例えば一点透視図法であれば、室内などの正面性を重視した表現に利用できるでしょうし、二点透視図法は、建物などの立体感を表現しやすいと言えるでしょう。また三点透視図法は、都市など大きな対象物を、スケール感を持って表現したい時に用いることができます。なお、このような表現方法は、遠近感や立体感を表現する手段として絵画でも応用されており、ルネサンス以降、レオナルド・ダ・ヴィンチやアルブレヒト・デューラーなどの画家たちが、透視投影図法を応用した様々な試みを行ってきたことを今日でも見ることができます。
(※1)消失点(もしくは消点)とは、高層ビルを見上げた時や、遥か彼方に向かって伸びる道を見た時に、遠くになるほど幅が細くなり、やがて一ヶ所に向かって収束していくように感じられる点のことです。
関連科目
参考文献
・「ドローイング・モデリング」横溝健志 小石新八/編 武蔵野美術大学出版局 2002年
・「図学・製図」堤浪夫/著 武蔵野美術大学出版局 1998年
・「新訂三版 建築製図」日本建築家協会/編 2006年
・「絵とき 機械図面のよみ方・かき方」小町弘/著 オーム社 2007年
監修
小石新八 通信教育課程工芸工業デザイン学科教授
作成日・改訂
2009年05月06日作成