透視図法(線遠近法) とうしずほう(せんえんきんほう)

Perspective Drawing (Linear Perspective)

分類

透視図法(線遠近法)は、数ある遠近法の中でも、もっとも科学的で体系化された空間表現法です。具体的には、遠方の水平線HLに向けて真っすぐ延びる一本道の真ん中に立ち、風景画を描くとします。まず、視点は常に一定方向に固定する必要があり、遙かに続く道の先を見ているとします。その場合、道は道路脇の輪郭線A・A’を遠方に行くにつれ水平線上の一点(消失点VP)に向けて収束するように描き、道に並走する電線Bなども同様にその一点に向けて描くことで遠近表現をするというものです。この場合、画面は視点から消失点をつなぐ線上の任意の位置で直交した平面部分Cになります。
西洋では、平面(2次元)への立体空間(3次元)表現の試みは、古代ギリシャ・ローマ時代にすでに見ることができます。その後15世紀、イタリアのルネサンス期に至り「線遠近法」としての理論が確立されました。この時期に活躍した建築家のブルネレスキがその方法論を生み出し、同じく建築家で芸術理論家のアルベルティによって体系化されました。17世紀には、フランスの数学者デザルグやモンジュによって、より完成されたといわれています。
線遠近法の発見当初は、消失点を一つ持つ「一点透視法」が多く用いられていましたが、場合によっては不自然な部分が生じ、それを補うべく、消失点を二つ持つ「二点透視法」や、消失点を三つ持つ「三点透視法」などが開発されました。ちなみに、透視図法の一般的な別称として、パースペクティブ、その略語でパースとも呼びます。

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関連項目

参考文献
・「絵画 アートとは何か」武蔵野美術大学出版局
・「絵画の教科書」 日本文教出版
・「日本美術用語辞典」 東京美術
・「オックスフォード西洋美術辞典」講談社
・「初めて学ぶ遠近法」 エルテ出版
・「透視図の基本」美術出版
・「遠近法の技法」同朋社出版
・「アートテクニック大百科」美術出版

監修
堀内貞明 通信教育課程油絵学科教授
島眞一  通信教育課程油絵学科教授

作成日・改訂
2007年06月14日作成